最終更新日:2023年06月15日(木)
骨粗鬆症予防の食事について(栄養室)
今回の栄養室の学生実習では、骨粗鬆症予防のための食事を考えました。
骨粗鬆症とは、骨強度(骨の強さ)が低下して、骨折しやすい状態になることです。骨強度は骨密度と骨質によって決まります。骨粗鬆症の危険因子には、加齢などの除去できないものと食事や運動などの生活習慣に関わる要因で除去できるものがあります。食事でしっかりと栄養をとり、骨粗鬆症を予防しましょう。
骨粗鬆症予防において、骨のもとになるカルシウムやマグネシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムを骨にくっつけるのを助け骨から溶け出すのを抑える働きのあるビタミンKといった栄養素が重要です。
≫栄養素の詳しい働き・多く含む食材について読む
骨粗鬆症予防に重要な栄養素がとれる朝食のおすすめ献立を紹介します。特に重要な栄養素であるカルシウム・ビタミンDを1日の摂取目安量・推奨量の50%以上とれる献立です。成長期~高齢者まで幅広い年代の方にお勧めです。忙しい朝にもピッタリな10分程度で用意できる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
(ご飯、焼き鮭、小松菜の佃煮和え、牛乳)
➡詳しい作り方はこちらエネルギー 407kcal、たんぱく質 27.3g、食塩相当量 2.8g
カルシウム:463mg、マグネシウム:96mg、ビタミンD:15.3μg
<ポイント>
- 時短レシピで、忙しい朝にもピッタリ。鮭は冷凍食品のお弁当のおかずで代用しても可。
- 朝に温かい味噌汁を飲むことで、身体も温まり、水分補給もできます。
- 栄養充足率 カルシウム:71%、ビタミンD:180%
(じゃこ海苔トースト、小松菜とチーズのオムレツ、キウイ、牛乳)
➡詳しい作り方はこちらエネルギー:451kcal、たんぱく質: 25.9g、食塩相当量: 2.0g
カルシウム: 406mg、マグネシウム: 54mg、ビタミンD: 4.7µg
<ポイント>
- 火を使わない簡単な料理で、時間がない時や子供でも作ることができる。
- オムレツをレンジで加熱している時にトーストを作るとさらに時短に!
- 栄養充足率 カルシウム:62%、ビタミンD:55%
骨に重要な栄養素の働きと、その栄養素を多く含む食材について
- ①カルシウム
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カルシウムは、骨や歯を形成します。骨格を構成する重要な物質であるため、不足すると骨が十分に成長せず、骨粗鬆症の原因にもなります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人1人1日当たりの推奨量を、男性で 700~800mg、女性で 650mg と設定していますが、日本人の平均摂取量は505mg/日と不足しがちな栄養素です。またカルシウムは吸収しにくい栄養素の一つで、他の栄養素の影響や喫煙や飲酒なども吸収率に影響します。
<カルシウムを多く含む食材>-
乳製品
- 牛乳 180ml
198mg - プロセスチーズ
1個20g
126mg
- 牛乳 180ml
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魚介類
- 干しエビ 3匹 9g
639mg - しらす干し(半乾燥)
大さじ2杯 10g
52mg
- 干しエビ 3匹 9g
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豆類
- 木綿豆腐 1/4丁 75g
70mg - 納豆 1パック 40g
36mg
- 木綿豆腐 1/4丁 75g
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野菜
- モロヘイヤ 100g
260mg - 水菜 100g
210mg - 小松菜 100g
170mg
- モロヘイヤ 100g
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- ひじき(乾燥)
大さじ1杯5g
50mg - 切干大根(乾燥)10g
50mg
- ひじき(乾燥)
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- ②ビタミンD
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ビタミンDは小腸でのカルシウムの吸収を促進させ、正常な骨や歯を作る手助けをします。少し不足するだけでも骨粗鬆症や骨折のリスクになると言われており、欠乏すると小児ではくる病、成人では骨軟化症になりやすくなります。ビタミンDの摂取目安量は8.5㎍に設定されていますが、日本人の平均摂取量は6.9㎍で多くの日本人が不足しています。ビタミンDは特に鮭に豊富に含まれているので(1切れ当たり25~30㎍程度)1週間に1回ほど食べるとお勧めです。脂溶性のビタミンなので、油で炒めたり揚げることで摂取率が高まります。また、日光に当たる事でも産生されるため、食事を意識するだけでなく空いた時間で日光浴も行ってみましょう。
<ビタミンDを多く含む食材>-
魚介類
- 紅鮭 80g
30.4㎍ - しらす干し 10g
6.1㎍ - イクラ 50g
22.0㎍
- 紅鮭 80g
-
きのこ類
- まいたけ 100g
4.9㎍ - きくらげ 3枚 3g
2.6㎍
- まいたけ 100g
-
卵・油脂類
- 卵 1個 60g
2.3㎍ - マーガリン 大さじ1杯 12g
1.3㎍
- 卵 1個 60g
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- ③マグネシウム
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マグネシウムは、体内の50-60%は骨に含まれており、残りの多くは細胞内液に含まれ体内の様々な生理機能に関与しています。骨や歯にカルシウムが行き渡るように調節する働きがあり、丈夫な骨や歯を作る上で重要な栄養素で、長期的なマグネシウムの不足により骨粗鬆症リスクが高まると言われています。日本人の平均摂取量は247.1mgで、推奨量は男性約350mg、女性約280mgに設定されているため、やや不足しています。
<マグネシウムを多く含む食材>-
魚介類
- 干しエビ 3匹 9g
47mg - いわし 2匹 50g
50mg
- 干しエビ 3匹 9g
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野菜・藻類
- ほうれん草 100g
69mg - 乾燥わかめ 5g
55mg - 乾燥ひじき 5g
32mg
- ほうれん草 100g
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穀類
- そば 1玉 180g
49mg - 玄米ご飯 1杯 150g
74mg
- そば 1玉 180g
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豆類・種実類
- 豆乳 180ml
45mg - アーモンド 10粒
31mg - ピュアココア 15g
66mg
- 豆乳 180ml
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- ④ビタミンK
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ビタミンKにはカルシウムを骨に沈着させて骨を形成する働きがあり、丈夫な骨作りに不可欠な栄養素です。ビタミン K は葉野菜や納豆、海藻類に多く含まれてます。中でも納豆はビタミンKを特に豊富に含む食べ物で、納豆を日常的に食べている人は食べていない人に比べて摂取量が 2 倍であるという調査報告もあります。日本人の食事摂取基準では成人1日あたりの摂取目安量を150μg/日に設定しており、この値は納豆を日常的に摂取しない日本人の平均摂取量と同等のため通常の食生活では不足しないと言われています。
<ビタミンKを多く含む食材>-
豆類
- 納豆 1パック 40g
240㎍
- 納豆 1パック 40g
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野菜類
- ほうれん草 100g
270㎍ - 菜の花 100g
250㎍
- ほうれん草 100g
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海藻類
- あまのり 1枚 2g
46㎍ - 乾燥わかめ 3g
48㎍
- あまのり 1枚 2g
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- ⑤【気を付けた方がいい栄養素:リン】
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リンは骨や歯などの主材料ですが、リンを過剰に摂取すると、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。魚・肉・豆類・乳製品など幅広い食品に含まれており、食品添加物として加工食品(インスタントラーメンや加工肉、練り物、清涼飲料水)にも多く利用されています。魚・肉・豆類・乳製品など食品に含まれているものは有機リン、加工食品の添加物に使用されるリンは無機リンで、無機リンの方が吸収されやすいので注意が必要です。加工食品のとりすぎには注意しましょう。
≫原材料表示をチェック「リン酸塩」「ピロリン酸」「ポリリン酸」「メタリン酸」などの表示がリンを含む食品添加物です。
バランスよく色々な食材を食べて、栄養をしっかりととりましょう!
※摂取目安量および推奨量は、日本人の食事摂取基準 2020年版より引用
平均摂取量は、令和元年国民健康・栄養調査より引用
栄養素の含有量については、日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に算出